離婚にまつわる「お金」のご相談(婚姻費用、財産分与、慰謝料、年金分割、離婚後の生活)
離婚の際には「お金」の問題がつきものです。離婚をする場合は、女性の場合は、「経済的自律」を意識する必要がありますし、男性側も養育費などを控除した金額で生活を成り立たせることを意識する必要がある。
- 離婚前の別居時の生活費の問題
- 離婚時の財産分与の問題
- 相手が不倫した場合などの慰謝料の問題
- 将来の年金に関する年金分割
離婚後に経済的な自立ができるか不安を抱く方もおられるでしょう。
離婚にまつわるお金の問題は、安藤一幹弁護士までご相談ください。
離婚時のお金が重要な理由
現代の日本で生きていくために「お金」が重要なことは明らかですが、離婚時には「お金の必要性」がなおさら強調されます。
たとえば婚姻生活で専業主婦だった方は「別居するお金がない」ために無理に嫌な相手との同居を継続するケースがよくあります。「経済力がない」から、離婚をあきらめる方もおられます。「子どもに離婚のしわ寄せを及ぼしたくない」「大学に進学させたい」などのお考えもあるでしょう。
熟年離婚では、「離婚後の生活」が心配になるものです。熟年離婚の場合は、高齢期のライフデザインも一緒にする必要があります。
婚姻時に専業主婦だった方は「離婚後夫の年金なしで、1人で生きていけるだろうか?」と不安になり、離婚をあきらめるケースが少なくありません。自分が生活に困ると子どもに負担がかかるかもしれない、と不安を感じる方もおられます。
離婚するとき、相手からしっかりお金を受け取っておけば上記のような不安は解消されるでしょう。
後悔しない離婚を実現するため、お金は極めて重要といえます。
婚姻費用
同居中に相手の収入に頼って生活していた場合、離婚前の別居に躊躇してしまいがちです。別居すると相手から生活費を払ってもらえないと危惧するためです。一般的には別居した妻やこどもが、夫に対して養育費を含む婚姻費用を請求する例があるともいえます。
特に小さい子どもを連れて別居するときには「子どもに不便な生活をさせられない」というプレッシャーもあるでしょう。
離婚前に別居するときには、相手に「婚姻費用」という生活費を請求できます。
民法は夫婦の相互扶助義務を定めており(民法752条)、これにもとづいて夫婦は互いに支え合わねばならない義務を負うからです。夫婦の相互扶助義務は「生活保持義務」という高いレベルの義務であり、自分の生活レベルを落としてでも相手の生活を維持しなければなりません。
別居後、自分よりも相手の収入が高ければ、所得に応じた金額の婚姻費用を請求できます。
子どもがいる場合には子どもの養育費も加算されるので、生活できなくなる心配はいりません。
相手が払わないときには家庭裁判所で「婚姻費用分担調停」を申し立てれば、裁判所で婚姻費用についての取り決めができます。相手が払わないときには調停が成立していたり審判が確定していたりすれば、給料差し押さえも可能です。
別居中の生活費について不安のある方は、一度弁護士に相談してみてください。
婚姻費用についてはこちらのページに詳しく記載していますので、ご参照いただけますと幸いです。
財産分与
離婚の際「財産分与」も重要ポイントです。
財産分与とは、婚姻中に夫婦が積み立てた共有財産を清算することです。
婚姻生活で夫婦が協力して形成した資産は共有となりますが、離婚後には共有にしておくべきではないため清算します。
夫名義でも妻名義でも共同名義(不動産など)であってもすべての共有資産が財産分与の対象になります。
財産分与対象資産の例
- 現金、預貯金、電子マネー
- 積立型の保険(生命保険、学資保険など)
- 不動産
- 車
- 株式、投資信託積立金
- 貴金属、時計、骨董品などの動産類
財産分与の割合
財産分与の割合は、基本的に「夫婦2分の1とすべき」と考えられていますが、夫婦が話し合いで決めるときには2分の1にこだわる必要はありません。
財産分与についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、よければご参照ください。
慰謝料
慰謝料は、夫婦のどちらか一方に、不貞や暴力などの「有責性」があるときに相手に払わなければならない損害賠償金です。有責性とは、「婚姻関係を破綻させたことに対する責任」です。
故意や過失によって婚姻関係を破綻するような言動をして相手に精神的損害を与えたら、慰謝料を支払うべき義務が発生します。
相手に有責性があれば、離婚の際に慰謝料を請求しましょう。
慰謝料が発生するケース
- 相手に不倫された
- 相手から暴力を振るわれていた
- 相手からモラハラを受けていた
- 相手が家出した
- こちらが専業主婦なのに相手が生活費を払ってくれなかった
- パートナーが不倫相手と同棲した
状況にもよりますが、正当な理由もなく性交渉を拒否され続けた場合にも慰謝料が発生する可能性があります。
慰謝料の金額
裁判所で慰謝料を算定する場合、だいたい100~300万円程度となるケースが多数です。
高額な事例では500万円以上の慰謝料が認められる可能性もあります。
不倫された場合には「肉体関係」を証明できなければ慰謝料が低くなるので注意しましょう。
肉体関係を証明できれば100万円以上になりますが、証明できなければ50万円程度にしかならないのが一般的です。
自分たちで慰謝料を決める場合
自分たちで慰謝料の金額を決める場合には、上記の相場にこだわる必要がありません。
500万円や1000万円などの金額でも有効です。
慰謝料代わりに全財産の財産分与を受けて解決する方法もあります。
慰謝料についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
年金分割
離婚の際の「お金」に関しては「年金分割」も非常に重要です。
年金分割とは、夫婦が婚姻中に払い込んだ「年金保険料」を公平に分け合う制度をいいます。
夫婦の片方または双方が「厚生年金」に加入している場合に年金分割ができます。
通常、会社員や公務員、会社経営者であれば厚生年金に加入しています。
なお国民年金は分割対象になりません。夫婦の双方が無職、フリーランスや個人事業主の場合、国民年金しか加入していないので年金分割はできません。
合意分割と3号分割
年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。
合意分割とは、被分割者(分割される側。つまり厚生年金に加入している側です)の同意が必要です。3号分割が適用されないすべてのケースに適用されます。
3号分割は、平成20年4月以降に婚姻した夫婦で一方がパートナーの「3号被保険者」になっている場合に適用される年金分割です。3号被保険者とは、「扶養に入っている人」のことです。3号分割では被分割者の同意は不要で、請求者が単独で年金分割の手続きをできます。
合意分割で相手が同意しない場合
合意分割したいのに相手が同意してくれない場合、離婚後に家庭裁判所で「年金分割調停」を申し立てましょう。
年金分割調停では、家庭裁判所の調停委員が相手に対し、年金分割に応じるよう説得してくれます。相手がどうしても納得しなければ「審判」となり、裁判官が0.5の割合(2分の1)で年金分割を行います。
調停や審判をすればほぼ確実に0.5の割合で年金分割してもらえるので、あきらめる必要はありません。
年金分割についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
離婚後の経済的自立
離婚後1人で生きていけるのか心配になり、離婚を躊躇される方が少なくありません。
ただ今の日本ではさまざまな行政からの給付を受けられるので「生きていけない」心配は不要です。
たとえば子どもがいれば児童扶養手当や児童手当を受けられますし、医療費や家賃の補助もあります。交通費や粗大ゴミの費用が減免されるサービスもありますし、高校までの子供の授業料は、私学も含めて無償化されています。
最終的にどうしても生活できなければ生活保護も受けられます。
離婚にまつわるさまざまな「お金」にまつわる問題。不安な方には名古屋駅ヒラソルの安藤一幹弁護士がアドバイスをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。