会社経営者や医師、自営業者の方からの離婚相談

会社経営者や医師など高所得の方が離婚する場合、一般とは異なる悩みが発生するものです。会社経営者や医師は同族によるアセットも多いといえるため、財産分与は複雑を極めます。会社経営者や医師の方のみならず、お相手とされる方は、安城の建設会社創業者の孫にあたる安藤一幹弁護士に相談すると良いと思います。

  • 株式も財産分与の対象になる?
  • 財産分与割合は2分の1にしなければならない?
  • 離婚にともなって配偶者を解雇できるのか?
  • 会社の財産は財産分与対象になる?
  • 妻が医療法人に出資している場合はどうする?
  • 年収2000万円を超えており、婚姻費用や養育費の算定方法がわからない
  • 配偶者に財産分与したくないが子どもに会社を継がせたい
  • 病院・医院の開業資金を『実家』が援助することがあるため、「特有財産性」が『妻の実家からの資金援助』として問題になることもあります。

安藤一幹弁護士は、医師からの依頼も幾重に受けております。
安藤一幹弁護士は、経営者、医師の方、その相手方にも寄り添い、お悩みを抱えた方からご相談のご不安を笑顔に変える法律相談を心がけます。

不適切な対処方法をとると会社経営や医院の運営に支障が及ぶなど、大変なリスクも発生します。

今回は経営者や医師などの高額所得者が離婚するときに押さえておくべきポイントがありますので、ぜひ安藤一幹弁護士との法律相談の参考にしてみてください。

1.財産分与の割合

経営者や医師などの高額所得者の方は、婚姻中に多額の資産を形成しているケースが多いでしょう。
財産分与の割合は基本的に2分の1とされますが、そのまま適用すると配偶者への分与額が極めて高額になってしまいます。相手は財産形成への貢献度が低いのに分与割合が2分の1ずつになるのは不公平です。

裁判例によると「一方配偶者の特殊なスキルや資格、才覚などによって高額な資産を得た場合には相手配偶者への分与割合を減らすべき」と考えられています。

具体的な割合はケースにもよりますが、配偶者への分与割合を1割以下とした事例もあります。

経営者や医師などの方が離婚する場合、相手から2分の1の財産分与を要求されても必ずしも応じる必要はありません。

少し古い判例になりますが、福岡高裁昭和44年12月24日判決においては、「夫が多額の資産を有するに至ったのは、妻の協力もさることながら、夫の医師ないし病院経営者としての手腕・能力によるところが大きい」と判示して、2分の1を修正したという事例がありました。現在、この判例がそのまま通用するとは思えませんが、こうしたものも参考にした交渉指針を作ることは考えられます。

2.会社株式が財産分与対象になる場合とならない場合

株式会社を経営されている方は、自社株を保有しているケースも多いでしょう。
自社株も財産分与の対象になるのでしょうか?
対象になるケースとならないケースをみてみましょう。

自社株が財産分与の対象になる場合

結婚してから会社を設立して株式を取得した場合、基本的に財産分与の対象になります。
ただし対象となるのは「夫婦の個人名義」になっている株に限られます。

自社株が財産分与の対象にならない場合

婚姻前に会社設立して取得した自社株は、財産分与対象になりません。
婚姻後に会社設立した場合でも、共同出資者や親族など「夫婦以外の人の名義」になっている株式は財産分与の財産分与対象外です。

自社株の評価方法

上場会社であれば、証券取引所における株価によって評価します。
非上場会社の場合、純資産を基準にした評価方法や類似業種の会社と比較する方式など複数の評価方法があり、会社規模や株主構成などによって適用すべき方法が異なります。
適正に株価を算定するには、公認会計士などの専門家に相談する必要があるでしょう。

3.会社名義の財産は財産分与対象にならない?

会社名義の財産は財産分与対象になるのでしょうか?

基本的に、財産分与対象になるのは「夫婦の共有財産」のみです。会社(法人)には経営者個人とは異なる人格が認められるので、会社名義の資産は財産分与対象になりません。

ただし会社名義であっても実質的に個人資産と同視できる場合には、財産分与対象になる可能性があります。

  • 経営者の一人法人で、個人事業と同様の状態
  • 夫婦の生活に使っている車などの財産を節税対策のために法人名義にしているだけの場合

上記のような場合、会社名義であっても財産分与対象にされる可能性があります。

4.配偶者が株式を保有している場合

配偶者が会社株式を保有しているケースでは、離婚後も配偶者が株式を保有したままになると、経営に支障が及ぶリスクが高まるので注意が必要です。
特に相手が50%以上の株式を保有していると、元配偶者の賛成を得られなければ株主総会の普通決議もとれなくなり、会社運営が困難となるでしょう。
配偶者が3分の1以上の株式を保有している場合でも、株主総会特別決議の承認は困難となります。
それ以下であっても各種の少数株主権を行使され、経営を妨害されるおそれがあります。
相手が会社株式を保有しているなら、離婚時に配偶者の株式をすべて買い取っておきましょう。

このようなケースでは、医療法人などでは散見されます。配偶者である非医師が、医療法人に出資しているというものです。典型的なものは、妻が夫の医療法人に出資しているものです。
その場合、妻から持分を引き取るということになる可能性があります。投下資本を回収させなければ妻は納得しないでしょう。妻が医療法人から退社することは可能ですが、その際には、出資持分の払戻はできないこともあります。医療法人の定款において「社員が退社するとき、出資額に応じて返還請求できる」という条項があれば、払戻請求ができますが、そうでない場合、払戻はできないこともあります。そこで、安藤一幹弁護士において、医療法人の定款も調査のうえ、「後悔のない離婚」のプランを提案し交渉することが重要であると思います。

5.配偶者を雇用している場合

会社経営者やクリニックを経営されている医師の方の場合、配偶者を雇用されているケースもよくあります。離婚するなら、相手に退職してほしいと希望される方が多いでしょう。

しかし離婚するからといって、雇用契約を終了できるわけではありません。
法律上、被用者は強く保護されるので、雇用者の都合による自由な解雇は認められないのです。
普通解雇するには「やむを得ない合理的な理由」と「社会的相当性」という厳格な条件を満たさねばなりません。

どうしても会社をやめてもらいたい場合、退職金を上乗せするなどして配偶者に自主退職を承認させる必要があります。
離婚協議で財産分与などを取り決める際に相手方へある程度の解決金を渡し、退職してもらうのがよいでしょう。

6.婚姻費用や養育費の算定方法

高額所得者の場合、養育費や婚姻費用の算定の際にも困難を生じるケースがよくあります。

婚姻費用とは

婚姻費用とは、収入のある配偶者が収入の低い配偶者へ渡さねばならない「生活費」です。
離婚前に別居する場合、毎月定められた金額の婚姻費用を相手に支払わねばなりません。

養育費とは

養育費は相手が子どもの親権者や監護者となる場合に支払うべき費用です。
基本的には子どもが成人するまで払い続けなければなりません。

高額所得者の婚姻費用や養育費計算方法

婚姻費用や養育費には裁判所によって相場の金額が定められていますが、給与所得者の場合に年収2000万円、自営業者の場合に年収1567万円が限度となっています。それを超える所得の場合、計算方法が明らかになりません。

個別的な計算方法もありますが、年収2000万円(自営の場合は1567万円)を超える場合、その計算方法を当てはめると所得に応じて金額がどんどん高くなってしまいます。
実際には生活費や養育費にそれほどの費用がかかるわけではないので、原則的な計算方法をあてはめるべきではないとする考え方が主流です。

年収2000万円を超える場合、個別的な事情を斟酌して婚姻費用や養育費の金額を定めなければなりません。

  • 年収2000万円の場合の金額を上限とする考え方
  • 「基礎収入割合」を減らして金額を調整する考え方など

上記のように、複数の計算方法があります。

高額所得者で養育費や婚姻費用を算定しなければならない場合、相手の主張する金額をそのまま受け入れると不利になる可能性が高いので、まずは弁護士までご相談ください。

7.子どもを後継者にしたい場合(特に医師にしたい場合)

夫婦の間にお子さまがおられて後継者候補にしたい場合、親権問題も重要になってきます。
配偶者が親権を主張すると親権争いが発生するでしょう。

会社の後継者にしたいからといっても、裁判所で親権を認めてもらえるとは限りません。
親権を獲得するには「子どもの親権者として適格である事情」を積極的に主張する必要があります。
場合によっては相手に親権を譲り、子どもが一定年齢になったときには会社に入社させて事業承継に協力してもらうための約束を取り付けるべきケースも考えられるでしょう。

また会社を継ぐか継がないかについて、最終的には子どもの意思が優先されます。親が希望する通りに子どもが事業を継いでくれるとも限りません。離婚後に再婚すれば、再婚相手の子どもが事業承継する可能性もあります。

後継者問題には複雑な要素がいろいろと絡むので、専門知識をもった弁護士が計画的に関わって対応する必要があります。

安藤一幹弁護士とインターン生との会話

菊池冬馬大学院生(以下、「冬馬」という。):医師の財産分与をする場合、医院の不動産がもともと伝統的な持ち家であったり、医療法人の持分の評価がむずかったりしますよね。
安藤一幹弁護士(以下、「弁護士」という。):基本的には、財産の評価については、時価に基づく実勢価格になります。たしかに、固定資産税評価や相続税評価で行われないこともないわけではありません。しかし、むしろ、底地との権利関係が異なり、夫婦共同財産の建物と先祖代替の底地が違う場合、不動産をもし妻が取得しない場合、価値において不平等が生じてしまう問題がありますね。

冬馬:医師の方の離婚の場合ですが、たしかに収入が多い例もありますが、特有財産が多くその切り分けが難しいという問題があるんじゃないかと思います。

弁護士:1階が医院になっていて、2階が自宅になっているという例も多く、事業用資産との切り分けが難しいですよね。この場合、資金の出どころなども問題になりますが、事業ローンで、自宅部分も建築されている場合など頭の痛い問題もあります。

冬馬:株式と同じですが、婚姻後の医療法人の設立であれば、医療法人の持分も財産分与の対象になりますが、非医療者が持分の取得を希望するとは思えませんから、事実上の払い戻し額をどの程度にするかという問題も生じますよね。

弁護士:問題は、医師が「お婿さん」で、妻の実家から医院の開設に多大な支援がなされている場合だね。
冬馬:どこまで特有財産とされるのか、夫側の寄与の程度もあるし、難しい問題ですよね。
弁護士:医師の事例でうんざりするのは、財産開示請求で、アルバイトの開示をめぐって争いが激しくなるという点ですね。これは医師の離婚事例あるあるだと思います。
冬馬:でも、驚いてしまうのですが、医療法人の資産もまた、財産分与の対象になることなんてあるんですか。

弁護士:かなり熾烈な争いのケースであるとは思います。医療法人の医師は、個人の資産と医療法人の資産が混在しがちです。実際はひとり法人のような場合も少なくないので、個人の資産を医療法人に隠してしまうみたいなことができてしまうのですよね。

冬馬:法人格があるのにね・・・。形式的には、医療法人の保有資産であっても、家裁では、夫個人の資産とみなされる可能性があると思います。こうしたものは、報酬の設定の仕方や出資などの仕組みを調査して準備することが必要にありますね。

弁護士:離婚の際に、妻が医療法人の出資分を持っているとき、これを解決しておかないと、妻が出資者という関係が引き続いてしまう関係になりますね。

経営者や医師の離婚は名古屋ヒラソルまでご相談ください

経営者や医師の方の離婚では、夫婦間だけではなく会社やクリニック経営に多大な影響を及ぼすリスクに注意を払わねばなりません。
財産分与や婚姻費用などの一般的な離婚条件にとどまらず、経営権や事業用資産の確保や労務問題、将来的には事業承継まで考えておく必要があります。
当事務所の弁護士は経営者や医師などの高額所得者の離婚案件にも有効な対応が可能です。
お悩みの方がおられましたら、まずは一度ご相談ください。

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