解決事例

財産分与における株式や信託などの評価方法について

財産分与における株式や信託などの評価方法について 離婚の際には夫婦の共有財産を公平に分ける「財産分与」が行われますが、その対象には株式や投資信託、先物取引など、いわゆる金融資産も含まれます。ここでは、それらの資産がどのように評価されているのかを事例を交えてわかりやすくご説明します。 株式(現物取引) 信用取引 先物取引 投資信託 小規模閉鎖会社の株式 ストックオプション まとめ 株式(現物取引) 株式は、原則として口頭弁論終結時の評価額に基づいて算定されます。上場株式については、基準日に保有していた株式の数量に、口頭弁論終結時の時価をかけて評価します。ただし株価の変動は大きいため、実務上では終結時期に近い日付の株価を証拠として提出することが一般的です。 両当事者に異議がなければ、改めて最新の証拠を提出する必要はありません。 また、別居後から口頭弁論終結時までに株式が売却された場合は、その売却価格(手取額)をもとに評価されるのが通常のやり方です。売却により金銭化され、価値が確定しているためです。 会社名義の株式については、以下の記事を参照してください。 会社名義の財産は財産分与の対象になる?法的に可能なケースを解説 信用取引 信用取引は証券会社に証拠金を預けて資金や株式を借りる取引で、現物取引とは異なり長期保有を前提としていません。基準日時点で保有していた株式は、仮にその時点で強制決済されたと想定し、時価と約定価格の損益を信用取引保証金に反映させます。 これにより算出された保証金が、分与対象です。 ただし、基準日時点に保有していた株式が基準日より高値または安値で売却されたことが明らかであれば、その売却結果を反映した保証金を評価対象とすることもあります。 なお、FX取引も保証金を活用する点などで信用取引と同様に扱われるのが適当とされています。 先物取引 先物取引は将来の特定日に商品を売買することを約束し、その差額で損益を決済する制度です。価格の変動が大きく、基準日に含み益があっても決済時に損失となる場合があります。そのため、基準日時点での時価で強制決済が行われたと仮定し、損益を保証金に反映させた結果を分与対象とするのが相当です。 ただし、帳簿や証明書などの資料により、実際の決済時期や金額が明らかになることも多く、その場合は実際の損益を反映させる場合もあります。 投資信託 投資信託は、投資家が出資した資金をファンドマネージャーが運用する仕組みです。基準日に保有していた投資信託の口数に、口頭弁論終結時の基準価額をかけて評価額を算出します。 実務では、金融機関が発行した残高証明書などの基準価額をもとに評価額が認定されるのが一般的です。投資信託の詳細情報は、取引報告書などで確認できます。 小規模閉鎖会社の株式 小規模閉鎖会社とは、株式が非公開で譲渡が制限されている会社のことです。 小規模閉鎖会社の株式は、市場に上場していないため評価が難しいですが、実務では「簿記純資産額方式」がよく用いられます。このため、当事者には口頭弁論終結時に近い決算書の提出が求められます。 特殊な方法として株式を他の財産と切り離し、財産分与割合に応じて現物分割を命じることもありますが、現物分割による分与は例外的であり、基本的には金銭での分与が原則です。たとえば、夫が個人事業主で財産開示に非協力的な場合など、訴訟対応が必要と判断されれば、現物分割も考慮されることがあります。 配偶者が経営者である場合の財産分与については、以下の記事を参照してください。 社長との離婚・経営会社株式(同族会社、医療法人)の財産分与について ストックオプション ストックオプションとは役員や従業員に株式取得の権利を与える制度で、士気向上や業績向上を目的としています。以下のような類型に分かれます。 権利行使価格が低額で株式を報酬とするもの 権利行使価格が株価より高く設定されているもの 市場価格で新株予約権を取得するもの 1と2のストックオプションは、報酬性があるため、権利行使期間の到来に関係なく分与対象財産とされます。一方、3は報酬性がなく、多くの場合は実質的に金銭価値がないと判断されます。 ストックオプションの評価は、基準日以後に行使された場合、株式の時価から行使価格および税金等を差し引いた金額とするのが一般的です。また、株式が譲渡されていれば、譲渡手数料や譲渡益にかかる税金も考慮されます。 2024年(令和6年)3月25日の東京家裁判決(令和元年(家ホ)第1001号)では、婚姻前に取得したストックオプションを婚姻期間中に行使して株式を取得した事案において、夫婦協力の結果形成された財産であることを理由に、夫婦共有財産に該当すると認定しました。ただし、オプションの付与から行使までの期間における婚姻期間の比率や業績向上などの事情も考慮し、株式のうち4割を分与対象と判断しています。 まとめ 財産分与における有価証券の評価は、その性質や取引の内容に応じて適切な方法がとられています。上場株式や投資信託のように時価が明確なものは、口頭弁論終結時の評価を基本としますが、信用取引や先物取引では仮想決済に基づいた計算が必要です。また、ストックオプションや小規模閉鎖会社の株式など、評価が難しい資産については、事情を丁寧に精査し、婚姻期間中の形成要素を踏まえた判断が求められます。 財産分与の公平性を確保するためには、こうした各資産の特性を的確に理解し、適切な評価手法を選択することが重要です。

財産分与時における子ども名義資産の取り扱いとは

財産分与時における子ども名義資産の取り扱いとは 財産分与において、子ども名義の預貯金などはどのように取り扱うべきでしょうか。判断の際に考慮すべき事情には、子どもの年齢、預金の使途や目的、管理の状況、資金の出どころ(原資)などが含まれます。 この記事では、両親の婚姻解消時における子ども名義の預貯金の扱いについて解説します。 なお、前提として財産分与の内訳は夫婦間の協議によって決定されます。記事の記述は基準としての目安を示すものであり、この通りに分与されなければならないというルールではありません。 子ども名義の預貯金に関する基本的な考え方 子どもが未成年である場合 財産分与の対象になるケース 財産分与の対象にならないケース 子どもが基準日後から判決までの間に成人に達した場合 学資保険の取り扱い 学資保険は一般的に財産分与の対象 学資保険の分与方法 まとめ 子ども名義の預貯金に関する基本的な考え方 子ども名義の預貯金などが財産分与の対象となるかどうかは、個別の事情に応じて判断されます。具体的には、子どもの年齢、預金の使途や目的、誰がどのように管理していたか、資金の原資が誰のものかといった点を総合的に検討して判断されます。 子どもが未成年である場合 子どもが未成年である場合、その名義の預貯金がどのように形成されたかによって財産分与の対象になるかが異なります。 ここでは財産分与の対象になるケースとならないケースについて、それぞれ具体的にみていきましょう。 財産分与の対象になるケース 両親が子どもの名義で学費のために毎月積み立てていた預金や、児童手当・養育費を貯めていた場合には、本来は子どもの養育のために使われることが予定されていたものと考えられます。その原資が夫婦の共有財産から出ていれば、これらは財産分与の対象とされることが一般的です。 行政から支給される児童手当は子育てのために両親に給付されますので、夫婦の共同資産に含まれます。よって、財産分与の対象です。同様の理由で、国や自治体から支給される出産一時金も財産分与の対象とされます。 一方、児童手当と呼び方が似ている児童扶養手当は、1人で子どもを育てる家庭を対象にした支援金であるため、婚姻関係解消時の財産分与においては問題にされません。 子どもの固有財産と夫婦の共有財産が混在している場合には、それらの預金を子どもの固有財産と認めるのは困難です。特に、子どもがまだ幼い場合には夫婦がその預金を自分たちの財産のように共同で管理しているケースが多く、子ども自身への直接的な贈与とは言いがたいと判断されます。 このような場合には、子どもの年齢や預金額などの事情を総合的に考慮し、子ども名義の預金全体を財産分与の対象とする判断がなされることがあります(東京高等裁判所 令和5年12月21日判決・令和5年(ネ)第2608号、第3896号事件参照)。 財産分与の対象にならないケース お年玉やお祝い金など、子ども本人に対して贈与された金銭を貯金していた場合には、それは子ども固有の財産とみなされるため、財産分与の対象からは除外されることが一般的です。 また、未成年である子どもがアルバイトで得た給与を貯金していた場合も、その預貯金は子ども固有の財産とみなされます。預貯金の管理を親がしていた場合も同様です。 子どもが基準日後から判決までの間に成人に達した場合 子どもが婚姻解消における基準日から判決までの間に成人に達した場合は、子ども名義の預金が「借名預金」であることが具体的に立証されない限り、一般的にはその預金を婚姻中の共有財産から除外する扱いになります。 具体的には、子ども自身が預金口座を管理して使用していたかどうか、またその使途や目的がどのようなものであったか(たとえば、お祝い返し、子ども用品の購入、給食費の支払いなどに使われていたか)を基に判断されます。 こうした事情を踏まえて、その預金が夫婦の共有財産といえるかどうか、財産分与の対象に含めるかを検討することになります(大阪高等裁判所 平成26年3月13日判決・判例タイムズ1411号177頁参照)。 成人した子どもの預貯金が夫婦の共有財産とされる可能性がある具体例としては、以下があります。 夫婦の総財産と比較して、明確に預貯金額が大きい 夫婦が預貯金内の資産を生活資金や借金の返済に充てていた 婚姻関係が危機に陥って以降、多額の資産が子どもに譲渡されている 学資保険の取り扱い 子どもが関係する財産分与の取り扱いが難しいものの一例として、学資保険があります。学資保険は一般的に財産分与の対象とされますが、分与の方法がトラブルの原因になるケースがあります。 学資保険は一般的に財産分与の対象 学資保険は子どもの教育資金を確保するための保険ですが、保険料は両親の資産から納付されることが一般的であるため財産分与の対象です。これは、保険の名義が両親のどちらであっても同様です。 一方、保険料の納付者が祖父母であったり、夫婦どちらかの明確な固有財産から納付されていたケースでは財産分与の対象にならない可能性があります。 学資保険の分与方法 学資保険を直接分与するためには解約しなければなりませんが、途中解約には元本割れのおそれがあります。したがって、解約した場合の払戻額を算出し、他の手段で契約を継続する相手に払戻額の半分を支払う方法がおすすめです。 なお、契約者は子どもの親権者にしておいた方がトラブルの原因になりにくいでしょう。 まとめ 離婚に伴う財産分与では、子ども名義の預貯金や学資保険が対象になるかどうかは、その資金の出所や管理状況、名義人の年齢など、さまざまな要素を総合的に判断して決定されます。一見すると子ども固有の財産と思われるものでも、実際には夫婦の共有財産とみなされるケースも少なくありません。 特にトラブルになりやすい学資保険の取り扱いや名義預金の線引きには専門的な知識が求められるため、離婚時には早めに弁護士へ相談することを強くおすすめします。

プロ野球選手の代理人の資格の限定と独占禁止法をめぐって

プロ野球選手の代理人の資格の限定と独占禁止法をめぐって


1 さて、プロ野球組織は、選手契約交渉の代理人として、弁護士法の規定による弁護士に資格を限定したうえで、複数のプロ野球選手の代理人になることを認めていませんでした。
2 では、プロ野球組織は、どうしてこのような独占禁止法違反の行政指導を受けたのでしょうか。
3 この点、プロ野球組織は、外国人選手に関しては弁護士以外についても、代理人になることは許容されています。
4 Jリーグにおいても、当初より代理人資格を弁護士に限定していません。
5 プロ野球が複数の選手の代理人となることが禁止されています。
6 しかし、契約締結交渉の経過が「法律事務」に該当するのであれば、そもそも外国人プロ野球選手やJリーグでの契約交渉代理も禁止されるのが法の筋合いです。
7 利益相反はその通りな面もありますが、例えば、球団の選手に対する年棒の予算が3億がアッパーの場合、3名のプロ野球選手の代理をしている場合、ひょっとすると、A選手の年棒制が高くなり、B選手の年棒制が低くなる可能性があると理念的にはいえるのです。しかも所属選手が30名いる場合、利益相反といっても実際に利益が損なわれる可能性は著しく低いといえます。
8 思うに、プロ野球組織は、選手に、エージェントが入ることを排斥し、むしろ球団側は複数の選手との交渉状況や契約内容は、必ずしも選手側は十分な情報を持っておらず、情報格差があります。
9 このように見てくると、プロ野球組織のルールは独占禁止法8条4号を適用し、プロ野球選手の活動を不当に制限しているものといえ、また5号のとおり、不公正な取引方法に該当する行為をさせようとするものと言わざるを得ないのです。
10 公正取引委員会の公表資料によりますと、公正取引委員会は、プロ野球選手に対して、本件ルールに反する代理人を選任しないとか、代理人との取引拒絶をしたことについて、独占禁止法8条5号を適用する可能性を示唆したものといえます。
11 このように見てみると、プロ組織のルールは、自主基準の目的は正当ではなく、達成のための手段としても合理的ではなく、自主基準の実施方法が目的達成のための方法として、相当という要件との関係で判断すると、いずれも否定せざるを得ないように思われます。
12 したがって、プロ野球組織についても、上記基準が正当化事由はないものと令和6年9月19日公正取引委員会発表を示したものと解されます。
13 もとより、直ちに、代理人として弁護士以外が認められるとは限りません。

14 そこで、安城在住のヒラソルの弁護士は、プロ野球に詳しい弁護士として、年棒交渉や契約締結交渉も得意にしております。ご用命の際はお問い合わせください。

ケース1:Mさんの事例

夫のAさんが,妻Bさんの会社関係の不倫相手Cさんに慰謝料250万円を請求しました。
解決に要した費用は2週間で、100万円で解決をしております。

ケース2:Aさんの事例

妻が、夫の不倫相手に対して、慰謝料制空を500万円請求しました。
本件では、不貞において、妻は、離婚を決意いたしました。安藤一幹弁護士は、その決断に寄り添うったのです。
解決に要した費用は1か月強、170万円
 期間は長く、離婚を余儀なくされ、小さなこどもが2人いた事例。

ケース3:Bさんの事例

夫が、妻の不倫相手に対して、慰謝料請求を330万円せいきゅうした事例
160万円で壊滅。

ケース4:Cさんの事例

妻が、こちらの依頼者の女性に500万円を支払う旨の証文を差入れさせた。
結果的に解決は200万円であり、300万円の減額に成功しました。
カウンセラーとおしかけてきて、500万円作るという合意書を作らされましたが、不当な事例には法律の専門家・安藤一幹弁護士に速やかにご相談ください。

ケース5:Dさんの事例

既に妻と離婚済みの夫から500万円の請求を受けた事例
それを310万円減額し、190万円とした事例があります。

ケース6:Eさんの事例

300万円を80万円に減額しております。これにより、220万円の減額に成功いたしました。

ケース7:Fさんの事例

男性のAさんが、不貞の慰謝料を賠償したBさんから求償請求として、150万円求償された事案。
裁判で徹底的に争った結果、75万円となっております。

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