プロ野球選手の代理人の資格の限定と独占禁止法をめぐって
プロ野球選手の代理人の資格の限定と独占禁止法をめぐって
1 さて、プロ野球組織は、選手契約交渉の代理人として、弁護士法の規定による弁護士に資格を限定したうえで、複数のプロ野球選手の代理人になることを認めていませんでした。
2 では、プロ野球組織は、どうしてこのような独占禁止法違反の行政指導を受けたのでしょうか。
3 この点、プロ野球組織は、外国人選手に関しては弁護士以外についても、代理人になることは許容されています。
4 Jリーグにおいても、当初より代理人資格を弁護士に限定していません。
5 プロ野球が複数の選手の代理人となることが禁止されています。
6 しかし、契約締結交渉の経過が「法律事務」に該当するのであれば、そもそも外国人プロ野球選手やJリーグでの契約交渉代理も禁止されるのが法の筋合いです。
7 利益相反はその通りな面もありますが、例えば、球団の選手に対する年棒の予算が3億がアッパーの場合、3名のプロ野球選手の代理をしている場合、ひょっとすると、A選手の年棒制が高くなり、B選手の年棒制が低くなる可能性があると理念的にはいえるのです。しかも所属選手が30名いる場合、利益相反といっても実際に利益が損なわれる可能性は著しく低いといえます。
8 思うに、プロ野球組織は、選手に、エージェントが入ることを排斥し、むしろ球団側は複数の選手との交渉状況や契約内容は、必ずしも選手側は十分な情報を持っておらず、情報格差があります。
9 このように見てくると、プロ野球組織のルールは独占禁止法8条4号を適用し、プロ野球選手の活動を不当に制限しているものといえ、また5号のとおり、不公正な取引方法に該当する行為をさせようとするものと言わざるを得ないのです。
10 公正取引委員会の公表資料によりますと、公正取引委員会は、プロ野球選手に対して、本件ルールに反する代理人を選任しないとか、代理人との取引拒絶をしたことについて、独占禁止法8条5号を適用する可能性を示唆したものといえます。
11 このように見てみると、プロ組織のルールは、自主基準の目的は正当ではなく、達成のための手段としても合理的ではなく、自主基準の実施方法が目的達成のための方法として、相当という要件との関係で判断すると、いずれも否定せざるを得ないように思われます。
12 したがって、プロ野球組織についても、上記基準が正当化事由はないものと令和6年9月19日公正取引委員会発表を示したものと解されます。
13 もとより、直ちに、代理人として弁護士以外が認められるとは限りません。
14 そこで、安城在住のヒラソルの弁護士は、プロ野球に詳しい弁護士として、年棒交渉や契約締結交渉も得意にしております。ご用命の際はお問い合わせください。